トイ スペシャル ハニー / Toi Special Honey

ベトナム中部高原、Lâm Đồng（ラムドン）省 バオロク地区。
早朝、霧に包まれた丘の上で、トイ氏は小さなカゴを手に赤く熟したコーヒーチェリーを一粒ずつ摘んでいきます。
彼の農園は広くはありません。しかし、一本一本の木を見つめ、土の状態や実の熟し具合を確かめながら、まるで家族のようにコーヒーの木を育てています。

「ロブスタだって、丁寧に作れば美味しくなる」
――それが、彼の信念です。

ベトナムでは長らく、ロブスタは大量生産・安価な豆として扱われてきました。
けれどもトイ氏は、その価値観を変えるために、**ハニープロセス（蜂蜜精製）**という手間のかかる精製方法に挑戦しました。
完熟チェリーを手摘みし、果肉を一部残したまま乾燥。ミューシレージ（粘液質）が発酵することで、豆に自然な甘みと香りがゆっくりと移っていきます。

15〜20日をかけて乾燥させ、豆が深い琥珀色を帯びるころ――
カップから立ち上るのは、まるで蜂蜜のような甘い香り。
それは、彼の情熱と自然の力が融合した証です。